古参ファンが過去作を参考に新作のレビューをするとまた「老害」だなんだと叩きたがる人が出て来そうなので予めお断りしておきますが、このブログはあくまでそういうところですので、それが嫌な方はこの場でお引き取りください。その方がお互いのためです。
上記に同意頂けた方のみ以下へお進みください。
キャラクター達は良かったです。
コンパイルハート過去作である「たころん」や「聖魔導物語」では一部あるいは全体的にキャラクター達の悪ノリが酷くて、作品全体のイメージを損ねていた部分もあったと思いますが、本作に登場するキャラ達は皆ユニークなところはありつつも根はまっすぐな良い子たちで安心しました。
悪役も「真の黒幕」によって運命を狂わされてしまった被害者的な一面もあり、根っからの悪人というわけではななさそうでしたしね。
セガぷよのりんご達や一部のテトリスキャラたちも悪ノリが酷くてうんざりしていたので、この界隈にアクの強いメインキャラはもういらないと思います。
あれから20年経っても「アルル魔導」の新作が出なかったのは残念ではありますが、フィアやトットといった素敵な新キャラ達と出会えたことは素直に良かったと思えました。
最序盤(チュートリアル)こそ茶番が過ぎて退屈でしたが、全体的にストーリーの質はよく、クライマックスはコミカルさは保ちつつもダークな展開や意外な展開の連続で楽しめました。
後述の通り本作のダンジョン攻略は全体的に単調でしたが「ストーリーの続きが気になる」というのが本作をプレイする大きなモチベになっていたと思います。
…と、キャラゲーとしてのクオリティは総じて高く、「魔導物語・ぷよぷよシリーズの集大成」と呼ぶにふさわしいクオリティに仕上がっていると思います。
…えぇそうです。あくまで「キャラゲー」という観点のみで本作を評価するならば…。
本作一の問題点💧
前回の記事で「ここ20年間、アルル達のいないこの界隈のゲームはヒットしなかった」という話をしましたが、仮にアルル達を起用していたところで、このゲームシステムでは本作がヒットしたかどうかは少し疑問ですね…💧
ぷよクロといい、本作といい、RPGなのだから戦闘はシンプルなコマンド選択式にすればいいのに、何故わざわざ複雑で面倒なバトルシステムにするのでしょうか?
戦闘システムを複雑にして、その分面白くなるのであればいいのですが、10連鎖を一度打っても戦闘か終わらないほどぷよ勝負が長引いたり(ぷよクロ)、アイテムやスキルもリアルタイムで慌ただしく選択しなければならなかったり(本作)と、プレイがし辛くなっているのでは本末転倒だと思います。
ぷよクロも本作もパーティー制なので「この界隈のゲームはパーティー制とは相性がよくないのでは?」とすら思います💧
物語やキャラクター設定とは噛み合っていないものの、戦闘をシンプルなターン制&コマンド選択式にした「聖魔導物語」が(ぷよクロと本作を比較対象にした場合)一番面白かったのは皮肉だと思います(※筆者個人の感想です)。
ダンジョンに仕掛けられた罠は見た目こそ各ダンジョンで違うものの、役割は「プレイヤーの足止め&VTの減少」というどれも同じもので面白みはあまりありません。
「わくぷよ」の罠は多彩でどれもプレイヤーにマイナス要素をもたらすものでしたが、巻物の効果でターゲット対象をモンスターに変えたり、女性キャラだけが引っかかる「体重計のワナ」や男性キャラだけが引っかかる「Hな本のワナ(※)」といったユニークなものもありましたが、本作のワナはただ面倒なだけでした。
※メインターゲットが「変態シェゾ」だから許されたのであって、紳士的なキャラの増えた現在のこの界隈でこんなワナは仕掛けられないだろう🤣
「わくぷよ」のワナは「ワナ能力」を獲得することにより、少しずつ克服できる仕様になっておりましたが、本作はそこらへんも大味で、「ワナよけサンダル」というアイテムを使えばそのフロアの間のワナはすべて回避できるようになっていました。あまりにも苦痛でつまらなにので、筆者はもっぱら「ワナよけサンダル」を使ってスルーするようにしていました😅
ワナはスルーできたのでまだ良かったのですが、「動く足場」だけはどうにもならなかったので面倒くさ過ぎました。
「わくぷよ」では特定のアイテムを使うとしばらく浮遊できるようになり、ダンジョンをショートカットできてこれがまた面白かったのですが、本作にはそのようなギミックはありません。
本作には、木属性(風の魔法)という、旧作にはない属性魔法が登場していたにも関わらず、フィアたちが魔法で空を飛べなかったのは少し残念かもしれません。
ダンジョン自体も単調で、オブジェクトを壊してアイテムを入手こそできるようになったり、今時のファンタジーRPGらしく栽培や釣りができるようになったのは良かったものの、それ以外の楽しみはあまりありません。
カレー制作スポットもありましたが、すでにネット上で意見が噴出しているとおり、カレーをダンジョン内で作るのに恵まれる機会はほぼありません(だいたい素材アイテムが足りない)。
細かい仕様も不親切で、各ダンジョン攻略中、一度しか使い機会のない「簡易脱出装置」が便利系アイテムの一番上に表示されているのも不親切を通りこして意地悪だとすら思います。筆者は「簡易階層ダウジング」と間違えてこれを使ってしまい、ダンジョン攻略を最初からやり直す羽目になったことが2回もありました。
仮にこれを使わなかったとしてもストーリー進行中に何度も同じダンジョンを訪れるようになるので、飽きがこないように「PS版わくぷよ」のように前半と後半で内装やBGMを変えるなどの工夫をしてほしかったところです。
「聖魔導」といい、本作といい、何故「PS版わくぷよ」という最高のお手本があるのにそれに寄せようとしないのか非常に疑問です。
「わくぷよ」ではオブジェクトを壊すとアイテムが入手できるのはもちろん、ホラーハウスで墓石を壊すとその下からアンデッド・モンスターが出て来たり、姿の見えない敵がどこからともなく攻撃を仕掛けて来た時は「アイスストーム」などの周囲を攻撃できる魔法を使うと敵の姿が見えるようになったり、特定のアイテムを使うと浮遊できるようになったり、普通に使うと有害なだけの「アイテムを風化させるアイテム」で腐ったカレーを腐る前の状態に戻したり、「アイテムを壊すアイテム」を敵に投げつけて大ダメージを与えたりととにかくギミックが豊富で、ルールを理解するたびに新たな発見があり、「ぷよぷよテーマパーク」という舞台の効果もあって「遊園地を冒険しているようなドキドキ・わくわく」感がありました。
予算や納期その他諸々の都合で「PS版わくぷよ」のような多彩なギミック、前半後半で異なる内装やBGMにはできなかったのかもしれませんが、本作はキャラゲーとしては圧倒的進化を遂げた一方で、ダンジョン攻略ゲームとしてはすっかりつまらなくなってしまった事にショックを受けました。
「わくぷよ」のように、運が悪いと序盤のダンジョンからいきなりドラゴンが出て来て一方的に殺されたり、半透明の敵が壁の中からこちらへ一方的に攻撃を仕掛けてきたり、フリーズバグがおきたりと超絶理不尽なこともないかわりに、最初から最後までずっと単調で変わり映えのしないゲーム、それが本作という印象です💧
「学園モノ」という性質上、ストーリー上では「学校の課題」として各ダンジョンを巡るようになっていましたが、「単調な作業の反復」というのがある意味現実の学校のお勉強とも通じるところがあり、その意味でも本作のダンジョン攻略は「面白くなかった」です(^_^;)。
だからもし、今後もまたコンパイルハートさんがローグライクorそれ風のゲームを作るのではれば、ぜひとも「PS版わくぷよ」のように豊富なギミックの実装やダンジョンの前半・後半で内装やBGMが変わるように工夫をしていただきたいところです。
…というか、セガにしろコンパイルハートにしろ、「学校」はもういいから、「遊園地」をテーマに新作ゲームを作ってくれないかな?
今回、「わくぷよ」以来久々にダンジョンにもももが出現し、アイテムが購入できるようになっていてそこは嬉しかったですし、「わくぷよ」にはなかった声が今回はついており、「コンパイル時代からこの声で喋っていたのか?」と錯覚するレベルでハマっていたのも良かったです。
…が、ダンジョン内でアイテムを投げたり、バトル画面に繊維しないと攻撃魔法が使えないという本作の性質上、強盗ができないのが残念でした。せっかくわくぷよ以来、二十数年ぶりにダンジョン内に出現するようになったわけですから、強盗もさせて欲しかったです(スージ・トゥクルよりヒドイwww)
ちなみに本作のゲームグラフィックについて「古い」という意見もあり、確かに本作のゲームは3DS時代の牧場物語(10年前のゲーム)っぽい印象を受けます。さすがにゲーム機がSwitchということもあり、ゲームグラ自体は3DSより綺麗ですし、それよりも動きますが、パッと見の印象としてはそんな感じです。
ただ、筆者は今時の3Dゴリ押しというか「なんでもかんでも3Dにしときゃ先進的に見えるし面白いゲームになる」と思い込んでいるかのような今のゲーム界の風潮があまり好きではないので、本作が今時のゲームグラに寄り過ぎないのは筆者にとっては返って好印象でした。本作が2Dの良さを忘れず、2Dのグラフィックも豊富だったことについては高く評価したいです。